外断熱バカになるまでの道のり-vol.03

シックハウスという現代病

1990年代になって日本でも高気密の家や施設での健康被害が報告され始めました。

「シックハウス症候群」といって、新建材から放出される化学物質を長期間吸い込むことによって、一定の化学物質に対して過剰反応を起こしてしまう症状です。この症状は花粉症と同じように、ある日突然発症して、一度発症すると治す術はありません。

新建材は30年以上前から使われているのに、最近になってシックハウス症が増加しているのは、建物の気密性が高くなっているからです。ボンドやペンキに使われている化学物質の逃げ場がなく、建物内に滞留してしまうのです。

外断熱の家も高気密です。こんな快適な家なのに、一方では健康を脅かす恐れがあることにはショックでした。

そのうちに対策として、建築基準法により全ての住宅に24時間換気が義務付けられました。しかし、換気だけで果たして問題が解決できるのでしょうか?

私は軽いシックハウス症状を持っています。修業時代、会社のバンにいつも養生用のベニアを積んで走っていたのが原因だと推測しています。(今でもベニアは大嫌いです。)

だから、空気の品質には非常に神経質です。換気しているから大丈夫という安易な言葉は信じられません。換気しなくちゃならない原因を取り除くのが先だと思います。

一番問題なのは、押入れやクローゼット。ここは換気が義務付けられていませんが、自宅での失敗から、換気が困難なことは実感しています。もし、ボンドやペンキを使った建材で仕上げてしまうと、そこから放散した化学物質はいつまでもそこに留まり、やがて布団や衣服に移ってしまいます。

人生の3分の1は布団の中にいるというのに、それが汚染されているなんてゾッとします。

家が抱えるもう一つの汚染

シックハウス以外にも最近の家が原因だと言われている病気があります。それは、アトピーとアレルギーです。この症状を持った赤ちゃんやお子様を見ていると、「私の造った家で少しでも症状を軽くしたい。万が一でも重くなるようなことはあってはならない。」と強く思います。

このアトピーやアレルギーの原因の一つにハウスダストが知られています。身体に良くないハウスダストとして、カビの胞子やダニの死骸が考えられますが、これらのアレルゲンならば、家の造り方しだいで減らすことが可能なのです。

カビもダニも水分を好み、湿気たところで発症します(生存率が上る。)家の中で水分があるのはどこでしょうか?キッチンや浴室?もちろん、水廻りを清潔にしておくことも大事ですが、実は、床の隅や壁の中など目に見えないところが問題です。

冬の間、暖められた空気が窓ガラスで冷やされて結露する現象はよく知られています。サッシの周辺にカビが生えているのを見たことはありませんか?同じように、床の断熱が弱いと床の上で結露するし、壁の断熱が弱ければ壁でも結露します。家具の裏は湿気の有力候補地です。また、中途半端に断熱された家(中気密の家)では、壁の中で結露してカビが発生します。

結露は温度差によって生じるので、家の中に温度差が無ければ結露しません。実際、昔の家は隙間風だらけで家全体が寒かった(温度差が無かった)ので結露が起きませんでした。しかし、最近の中途半端な断熱の家では、暖められた空気が壁の中などで冷やされて結露してしまいます。これがカビやダニの生存率を高めてしまうため、最近になってアトピーやアレルギーが増えたと言われているのです。

しかも、結露は、カビ、ダニ以外にも、シロアリや腐朽菌を呼び込み(生存率を高め)、家の寿命をも縮めてしまう諸悪の元凶です。

新しい家づくりの常識

建物の気密断熱性を高め、家庭でのエネルギー効率を向上することは、地球環境の上からも大変重要なことです。

今後もますます住宅の高気密高断熱化は進んでいくでしょう。

しかし、高気密高断熱の家は、使い方を間違えると人の健康を傷つけてしまう諸刃の剣であることも知ってください。私たちは、過去の常識を変えなくてはいけないのです。

一番重要なのは、建築資材として身体に良くないものは使わないということ。

当たり前のようなことですが、この当たり前のことを、今までの建築業界はないがしろにしてきました。ペンキやボンドを多用しても換気をすれば良いというのは机上の空論です。モトから絶たなきゃダメなのです。

次に、確かな気密断熱工事により、家の中に温度差を作らないということ。

温度差は、結露を生み、カビ、ダニ、シロアリ、腐朽菌の生存率を高め、人と家の健康を損ねる原因となります。中途半端な断熱工事は、温度差を作る一番の原因です。

人や生活によって発生した蒸気を24時間排気するための換気も大切です。

外断熱と無添加素材がキレイな空気を造る

幸せを願って建てたマイホームがご家族の健康を脅かすようなことは、決してあってはなりません。

そのために我々がしなくてはならないこと、それは室内の空気環境の向上だと信じております。

シックハウスで空気にやたらうるさい私が、外断熱の家に10年以上住み、どこにいっても温度や湿度やニオイを気にして、そして、行き着いた結論は、「健やかな暮らしはキレイな空気環境から」ということです。

新鮮な空気環境なくして、快適な暮らしはあり得ません。いくら性能やデザインが良くても、空気が悪ければ台無しです。

ですから、ウィングホームでは、家の「構造」と「仕上げ」の面から、室内空気の品質向上に努めています。

『外断熱』の構造は、快適な温熱環境を作り、家の中の温度差(湿気)を解消します。

『無添加素材』の仕上げは、安全な空気を提供します。

『外断熱』と『無添加』。この二つが両輪となって、はじめて、ご家族が安心して暮らすことのできる空気が得られるのです。

斎藤元志

投稿者: 斎藤元志 創業者

ウィングホーム株式会社の創業者であり、現代表。自らを「断熱バカ」だと揶揄する一面も。 スタッフ紹介

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