藤本壮介さんの個展へ行ってきました

個展!

先日、ずっと楽しみにしていた建築家・藤本壮介さんの個展へ足を運んできました。会場は六本木の森美術館。2025年11月9日まで開催されている「藤本壮介の建築:原初・未来・森」展です。

藤本壮介さんといえば、まるで森の中を歩いているような感覚になる「武蔵野美術大学 美術館・図書館」や、内と外の境界が曖昧な「House N」など、これまでの建築の常識を覆すような、軽やかで新しい発想の建築を次々と生み出している、今最も注目されている建築家の一人です。

今回の個展は、そんな藤本さんの思考の源泉に触れられる、初の大規模個展。期待に胸を膨らませて会場に入ると、そこには想像をはるかに超える空間が広がっていました。

圧巻!1000点の模型がひしめく「思考の森」

まず来場者を迎えるのが、広大な空間に1,000点以上の模型やオブジェが森のように密集するインスタレーション「思考の森」です。

これまで藤本さんが手掛けてきたプロジェクトのスタディ模型から、何気ない素材、アイデアの断片までが、大小さまざまに、そして無数に置かれています。その光景はまさに圧巻の一言。完成された美しい建築だけでなく、そこに至るまでの膨大な試行錯誤のプロセスを追体験するような感覚に陥ります。

一つひとつの模型をじっくりと眺めていると、「こんな突飛なアイデアからあの建築が生まれたのか!」という驚きや発見があり、藤本さんの頭の中を冒険しているようなワクワクが止まりませんでした。

未来の建築と都市に触れる

展示の目玉の一つが、2025年大阪・関西万博のシンボルとして話題の《大屋根リング》の巨大模型です。5分の1スケールで再現された模型は、実際に中を歩けるほどの大きさで、その圧倒的なスケールと、人々が集う未来の広場の姿をリアルに体感することができました。

また、藤本さんが思い描く未来都市のインスタレーション「未来の森 原初の森—共鳴都市 2025」も非常に興味深い展示でした。大小の球体が集まってできたような立体的な都市は、まるでSF映画の世界。しかし、そこには自然とテクノロジーが融合した、新しい人間の居場所の可能性が示されているように感じました。

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建築の「未来」を感じる体験

今回の展覧会を通して改めて感じたのは、藤本さんの建築が持つ「境界を曖昧にする力」です。内部と外部、自然と人工物、プライベートとパブリック。そういった当たり前にある境界線を、彼は巧みに溶かし合わせ、私たちに新しい空間の豊かさを提示してくれます。

それは「森」の中のようです。木々の間から光が差し込み、どこまでが道でどこからが森なのかはっきりしないけれど、そこには心地よい一体感と無限の広がりがある。藤本さんの建築には、そんな「ゆるやかな秩序」と「予測不可能性」が共存しているのかもしれません。

この展覧会は、建築好きの方はもちろん、デザインやアートに興味がある方、そしてこれからの未来について考えてみたいという全ての方におすすめです。会場を出る頃には、きっと建築や都市の見方が少し変わっているはずです。

展覧会情報

  • 展覧会名: 藤本壮介の建築:原初・未来・森
  • 会場: 森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
  • 会期: ~ 2025年11月9日(日)
  • 開館時間: 10:00~22:00(※火曜日のみ17:00まで。詳細は公式サイトをご確認ください)

ご興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。

山崎瑞穂

投稿者: 山崎瑞穂 建築士

女性二級建築士。細かな気配りができる3Dプレゼンマイスター。 スタッフ紹介

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