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今年は猛暑らしくまだ7月中旬なのに記録的な暑さですね。名古屋や京都では38度を記録したとか。ここ菊川でも連日うだるような暑さです。
この暑いなか外で働いている職人さんや現場監督には頭が下がります。
昨日は夕方になっても暑さが収まらず、ふと思っていろんな場所で温度を測ってみました。
水辺の近くは気温が低いか検証してみた
夕方、16時半くらいに、車の窓からKESTRELという高性能な温湿度風速計を外に突き出して温度を測定。どこもアスファルトの道路の上ということで条件は一緒。違うのは周辺環境です。
街中の温度・・・平均34度
川の近く、橋の上・・・平均32度
田んぼを横切る道・・・平均30度
すごい違いです。4度も違うと体感でもよくわかります。街中から田んぼに移ると、これならエアコンいらないと思うほどです。
では、家を建てるなら水辺の近くが良いかというとそうでもありません。毎年30棟以上のお宅を建てさせていただいて、その後の住みやすさなどヒアリングしているのですが、水辺(森も)の近くは湿気やすく、空気温度が低くても体感温度が下がりにくい傾向があります。(詳細はいつかブログで紹介したいと思います。)
では、どこが良いのでしょうか?
高台は気温が低いか検証してみた
掛川市の紅葉台は高台にある分譲地で、ウィングホームの区画もあってちょど今建築ラッシュです。標高ワカールというアプリで調べると、分譲地の入り口付近は標高38m、ウィング区画付近は68mなので、約30mの高低差がありました。測定したのは夕方の17時半くらいでしたが、結果は下記の通りでした。
入り口付近・・・32.5度
高台・・・30.8度
2度近い差があり、体感でも温度の違いが判ります。
ちなみに翌朝6時半ごろに測って比べてみましたが、大きな差はみられませんでした。都会で起こるヒートアイランド現象ほど酷くなくて、一晩でアスファルトの蓄熱が放出されるのでしょうか。
森の中は気温が低いか検証してみた
ここまで書いて、森も検証したほうがいいと思い、近くの神社に測定に行ってきました。
入口付近の道路・・・34.2度
境内の木陰・・・32.7度
1.5度の差でした。でも、境内の木陰は本当に涼しくて、たった1.5度しか違わないのは信じられません。
そこで秘密兵器を取り出しました。
それは赤外線放射温度計
表面温度を測ってみた
非接触で物体の表面から放射されている赤外線を検出して温度を測定するという優れものです。
「ウィングホームの家は、冬でもエアコン一台で床、壁、天井が同じ温度になります。」と言い切れるのも、この温度計で実際のお宅を計測しているからです。
結果は想像通りのものでした。
入口付近の道路・・・47.0度
境内の木陰・・・28.0度
20度の温度差!
空気自体の温度差は少なくても、周辺の物体から放射される熱量が圧倒的に違うということです。
でも、アスファルトと土でそんなに温度が違うものでしょうか?
疑問を持ったので、同じ境内の日が当たっている土の温度を計測してみたら
なんと50.0度!
先ほどの20度の温度差は、ただ単に日陰か日向かの違いでした。よく考えれば、土といっても表面には細かな砂利が敷かれていて、素材としては石です。土が涼しいのは、保有している水分が蒸発して気化熱が使われたときだけで、乾燥していたら蓄熱する素材なんですね。
(日向でも蓄熱しない素材があるのですが、それは次回ブログに書きますね。)
一周まわって、家は夏を旨とすべし
水辺の近く、高台、日陰(蓄熱されにくい)は他の場所に比べて涼しいことが改めて検証されました。
昔の裕福な家は、高台で森を背にした土地に建てられていました。これは「家は夏を旨とすべし」(家は夏向けに作るべき)と言われていた時代では正しい選択だったのでしょう。
涼しさだけで考えれば水辺という選択もあったかもしれませんが、治水が進んでいない時代でしたから高台を選んだのでしょうね。
では、現代はどうでしょう。
30年近くこの業界にいる私の感覚では、エアコンの普及とともに、「夏より冬向きに作るべき」ということで、高気密高断熱化が進んできました。でも、ここ数年は、「家の中には熱源はあっても冷源はない」と20年前から私が警鐘してきたことが全国で現実化してきました。つまり、高気密高断熱が完璧になると、冬は暖房がなくても太陽や人の生活で家は温められますが、夏はエアコンがなければ家を冷やすことはできません。
だから最先端の家は、一周まわって「夏を旨とすべき」に戻ってきました。
やはり私は断熱バカですね。話が尽きなくなってしまうので、この辺で筆をおきます。