外断熱一棟目は友人宅
名張での工事が終わり、静岡に帰ってきてからも、文献を読みあさりました。当時、外断熱は北国で注目され始めたばかりの工法だったので、大学の研究室から発信されている情報がメインでした。
そして、1年後の平成9年チャンスが訪れました。高校からの友人が自宅の新築を依頼してくれたのです。当時、「外断熱」は業界でもほとんど知られていなかったのに、無理やりやらせてくれと頼み込みました。友人は、お前がそこまで言うなら任せると言ってくれました。
新築工事も終わりに近づいた12月。冷たい風の日でした。現場に行くと、外でドカジャン来て作業しているタイル屋さんが「なんだ?この家は?中でクロス屋がTシャツで仕事しているぞ。」と驚いていました。得意満面になって外断熱の効能を説明したことは言うまでもありません。
名張での感動の再来でした。
自宅での失敗
友人宅が評判になって、その後私の手掛ける家は、全て外断熱で施工することができました。そして、独立して4年目の平成12年。いよいよ自宅を新築することになりました。
「建築屋の自宅は最大の実験場」と言われますが、我が家でもいろんな実験をしました。その中で、一番楽しみだったのが「外断熱」。ようやく住人として外断熱の効果を肌で感じることができるのです。住み始めてから毎年、外、1階、2階、小屋裏の温度と湿度を測定しました。
そして、初めて迎えた夏。昼食をとりに自宅へ戻ったときのヒンヤリした涼しさには、毎日感動の連続でした。
しかし、思わぬハプニングが起こりました。時々1階の和室で子供達と寝ることがあったのですが、次の日に押入れから布団を出すと汗臭くてたまりません。外断熱の家は、断熱性能と同時に気密性も高めているために、布団が含んでいる汗の逃げ場がなかったのです。