24時間換気の考え方

1996年にウィングホームを立ち上げ、最初の下請けの仕事で「外断熱工法による高気密高断熱住宅」を手掛け、その時に冬でも暖かい家に感動し、それ以来もう25年もの間、高気密高断熱住宅をつくり続けています

1999年に「外断熱工法による高気密高断熱住宅」の自宅をつくり、完成間際にドイツ製の自然塗料系のオイルを使って自分で内部塗装をしたところ、原因不明の全身ジンマシンになってしまいました
その後、自分がシックハウスであることを自覚し、自分のつくる家でお客様を同じ症状にはさせたくないと強く思うようになりました

高気密高断熱にすれば温熱環境は飛躍的に向上するが、気を付けないと空気環境を害して「家が原因の病気をつくってしまう」

この矛盾を解決して「温熱環境と空気環境に優れた家を提供すること」
私がずっと続けている仕事です

 

昔の家は隙間換気

昔といっても大昔ではなく、今でも普通に建っている築30年くらいの家でも多くは隙間だらけで、風が吹くだけで勝手に換気しています

さらに、昔の生活スタイルは、冬は外のほうが暖かい日中、夏は外の方が涼しい朝晩には、窓を開けて部屋の温度コントロールをするのが習慣でした

また、工事期間が長かったため、現場で一部にペンキやボンドを使っても引っ越すころには嫌な臭いは飛んでいました

 

気密が良くなって露呈した課題

その後、いわゆる新建材とビニールクロスによる内装が普及することで、家の工事期間が短縮され、家の気密性が高まっていきました

温熱環境は改善されましたが、一方で化学物質過敏症(シックハウス症候群)と呼ばれる「家が原因となる病気」が生まれました

これは、内装材から蒸発する化学物質が引き起こすアレルギー反応で、花粉症と同様一度発症するとなかなか治りません

化学物質が蒸散している家であっても、毎日窓を開けて生活すればシックハウスになりにくいのですが、エアコンによる冷暖房が普及した今となっては現実的ではありません

 

 

シックハウスを防止するための建築基準法改正

私がシックハウスを自覚したころ、新築された幼稚園や小学校などの施設で、生徒にシックハウス症候群が発症した事例が多数報告され、これを防止するために2003年7月に急遽、建築基準法が改正された記憶があります

当時の建築業界では、窓を開ければ済む話だとか自然素材で作れば問題ないとか、今思えば乱暴な理由の反対意見が多く飛び交いました

しかし、24時間換気により、化学物質だけでなく呼吸による二酸化炭素や料理による一酸化炭素、さらには日常生活で発生する水蒸気までも改善されることが判明し、今では業界でも必要不可欠との認識になっています
24時間換気は、引っ越しした後で購入する家具やファブリック、雑貨から発生する化学物質や、洗剤や芳香剤から発生する化学物質に対しても有効ですし、生活臭だって軽減してくれます

 

この改正では下記のように3つが義務化されました

1.「ホルムアルデヒド」(数ある化学物質のうちの一つ)の内装制限
2.「クロルピリホス」(白蟻駆除剤)の使用禁止
3.機械換気設備の設置と換気回数0.5回/時間以上の計画換気

しかし、依然として『健康を害する大きな抜け穴がある』ことは後述します

 

24時間換気の種類

第一種換気は、給気・排気ともに機械(換気扇)で行います
費用は掛かりますが、給気位置、排気位置が特定しやすく換気経路が明確になります

第二種換気は、給気は機械(換気扇)・排気は自然(気圧差)で行います
室内が正圧になるので隙間風は入りにくいが、排気されなかった室内の空気が壁内に入り込み結露する恐れがあります

第三種換気は、排気は機械(換気扇)・給気は自然(気圧差)で行います
気密が悪い家では隙間風の侵入により換気経路が計画通りにならない恐れがあります

熱交換式換気システムとは

24時間換気には上述のメリットがありますが、デメリットとして、夏(冬)にエアコンなどにより快適温度にした室内の空気を外に捨ててしまい、代わりに外の暑い(寒い)空気を取り込まなくてはならないという温熱上の非効率性があります

特に、冬は給気口がリビングや寝室にあると冷えた外気が直接部屋に入って床に向かうため、隙間風と同様に嫌われ、ご家庭によっては給気口や換気扇を止めてしまうこともあります

こうなると、気密性がよく換気できない家となってしまうので、シックハウス、二酸化炭素、結露などの問題が生じてしまいます

そこで、給気と排気の間に熱交換素子を配すことで、室内空気の温度の一部を外気に移して、室温に近づいた外気を取り込もうとしているのが「熱交換式換気システム」です

熱交換式換気システムは第一種換気となります

ウィングホームの換気構造

ウィングホームの換気方式は下図のように第一種換気です

熱交換はしていませんが、外気を一旦小屋裏空間に取り込むことで、外気が直接人に当たらないようにしています

小屋裏に押し込まれた外気はほぼ室温となってから、2階天井に設けられた給気口から各部屋へ落ちていきます
そして、ドアのアンダーカットを介して階段から1階の浴室に至り、浴室換気扇により外部へ排出されるという流れです(間取りによっては、この通りにならないことがありますが、その場合には直接外気が人に当たらない位置に給気口を増設するなどして対応しています)

ウィングホームが一番大事にしていることは「きれいな空気」です
創業以来、25年以上にわたり「きれいな空気」にこだわってきました
もちろん各種換気システムについても検討を続けてきました

そして、今のところ「温暖地域では熱交換式換気システム」は不要との結論に至っています

熱交換式換気の一番のメリットは、言うまでもなく【冬に冷たい外気を予熱してから取り入れる】(夏に暖かい外気を冷やしてから取り入れる)ことです

しかし、デメリットも多く存在します
1.温暖地域では、熱交換式換気システムの設置コストが回収できない(換気による温度差をエアコンにより調整するほうが安上がりとなる)
2.メンテナンスのための清掃、部品の交換をしなくなると、汚れた空気が部屋に供給されるようになり「きれいな空気」ではなくなる
3.熱交換式換気システムであっても、大量の蒸気を速やかに排出する必要のある浴室は(熱交換せず外気を直接入れ込む)局所換気となるため、冬寒い浴室になってしまう(ウィング方式では浴室は24時間換気の最終経路となるため常に室温に近い)
4.夏の夜間の涼しい外気は、熱交換により高温になってから室内に供給されるので、パッシブとは言えない状況もある

ウィングホームでは小屋裏を介して給気することで、熱交換式換気と同様に【冬に冷たい外気を予熱してから取り入れる】(夏に暖かい外気を冷やしてから取り入れる)ことができます

しかも、設置コスト、メンテナンスコストは格安です

ただし、どうしても熱交換式の換気がしたい方のために、あれこれ検討した結果、お勧めできる換気システムとして、ローヤル電機のSE200Rについてはオプションでご用意しています(実例2棟あり)

【警告】換気されない部屋こそが重要

建築基準法の改正により、化学物質過敏症(シックハウス症候群)が無くなったかというとそうでもありません

御多分に漏れず、法律には抜け穴があります

一つ目は、禁止された化学物質がホルムアルデヒドだけであること
当然ですが、何百種類とある化学物質には人体に危険なものが数多く存在します

二つ目は、さらに深刻ですが、押し入れなどの収納のなかの換気は不問であるということです
つまり、収納の内装を化学物質を発散する建材で仕上げたら、その建材から発生する化学物質は収納のなかに滞留し、それが布団や衣服に移るということです
夜は布団から昼は衣服から直接化学物質を吸い込むなんてヤバすぎますよね

シックハウスで苦労している私だからこそ、皆さまにあえて警告しています

ではどうすれば良いのかというと、収納のなかまで換気するとなるとコストが掛かりすぎてしまうので、収納のなかを自然素材で仕上げることをお勧めします

もちろんウィングホームでは標準仕様になっています

 

最後に、24時間換気は「換気するのが目的ではなく手段です。目的はいつまでも健康に暮らしてもらうこと」です
本気で健康に暮らしたかったら、換気だけでなく様々な配慮が必要となります

 

皆さまの家づくりが大成功し、「いつまでも幸せで健康に暮らすこと」を切に願っております

 

 

 

斎藤元志

投稿者: 斎藤元志 代表

ウィングホーム株式会社の創業者であり、現代表。自らを「断熱バカ」だと揶揄する一面も。 スタッフ紹介