漆喰の内装【5のデメリット】

ウィングホームの内装(天井・壁)は全て漆喰が標準です。

漆喰の家が住みやすいことは、毎回いただくお客様アンケートからも間違いありません。
でも、そんなに良い内装材なのにウィングホーム以外の住宅会社はどうして採用しないの?という疑問もでてきますよね。
それは、漆喰の特性上、取り扱いが難しいからです。
もちろん、ウィングホームは長年のノウハウで気難しい漆喰くんと仲良くやっているのですが、今回は一般的な家では漆喰を採用できない5つのデメリットをご説明します。

漆喰ってなに?種類はあるの?

漆喰は、水酸化カルシウムを主成分とした建築材料で、古くから内装材、外装材として世界中に普及しています。防火性が強いため日本でも、お城やお蔵の外装として使われてきました。
ウィングホームでは鉱山で採れる石灰岩を塩焼きして作られる消石灰を主原料とした高品質の漆喰を使用しています。貝殻やサンゴを原料とした漆喰も流通していますが、石灰岩のほうが白いと言われています。
類似品として西洋漆喰や珪藻土という名称の商材がありますが、樹脂やセメントなどが主成分のケースもありますのでご注意ください。

施工が難しく左官不足(漆喰のデメリット1)

漆喰の施工は、現場にて(弊社は工場にて)粉漆喰を水と練り混ぜて硬さを調整した漆喰を、左官コテにより壁に押さえつけて、力加減を調整しながら延ばしていきます。
その日の温度や湿度により乾くスピードが異なり、急激な乾燥はヒビ割れなどの不良を生むため、塗ったあとも24時間は様子をみながら増し押さえをします。
左官の腕によって、コテ跡が味になったり雑に見えたりするので、腕の良い左官が求められていまが、ご多分に漏れず職人さんも高齢化が進み、特に左官職人の高齢化は謙虚です。
ウィングホームの施工エリアでは、まだ若くてパワフルな左官さんも存在していますが、全国的にはヤバイくらい不足している地域もあり、そこでは漆喰を採用したくてもできない状況となっています。

ウィングホームでは、地域の左官を育てるためにも内装、外装を標準仕様で全て塗り壁にして、仕事を切らさないようにしています。社員左官を育てています。今後、当地でも左官が不足したときには、今いる木工事の海外実習生のほかに左官の実習生も育成する予定です。

工期が長い(漆喰のデメリット2)

施工の際には水と練り混ぜてから一定時間寝かせる作業、塗る前に下地を調整する作業(企業秘密)、塗ったあとも度々様子を観察して増し押さえをする作業、乾燥するまでの養生期間があり、湿式工法ならではの長い工期が必要となります。あまり知られていませんが、住宅会社は工期を短縮することで、資金回収までの期間を短くすることを目標としています。

ウィングホームでは、資金回収を急ぐ必要がなく、十分な工期をいただいて工事を進めています。キッチンその他の建材から初期に化学物質が発散しますが、工期が長いほどその量は減っていきます。漆喰を塗った後に発散した化学物質は漆喰が吸収してくれます。(漆喰のメリット)

費用が高い(漆喰のデメリット3)

漆喰を施工する費用をネットで調べると1㎡当たり4,000円~10,000円となっています。なぜ、こんなに開きがあるのかというと、下地によって塗るための下ごしらえが変わるからです。
仮に5,000円/㎡としても、平均的な家の施工面積(天井・壁)が300㎡とすると、施工費総額150万円とります。ビニールクロスだったら1600円/㎡×300㎡=48万円ですから、漆喰のほうが100万円近くコスト高となってしまいます。

これではせっかく素晴らしい素材であっても採用に待ったがかかってしまいますよね。ウィングホームでは、企業努力を続けた結果、新築時の漆喰仕上げを1㎡当たり3,860円(今日現在)で提供できています。これは大量採用&継続採用による左官の育成と信頼関係によるものです。なお、ウィングホームでは(プラスターボードに直塗りする施工はボード表面の紙をボロボロに劣化させて耐久性が低下するため)丁寧な下地処理を施しております。ここまでしてこの価格を維持できていることが他を追従させない理由です。

柄や色が付けにくい(漆喰のデメリット4)

漆喰は白が基本です。ベンガラなどの無機質の粉体を混ぜることによって色付けすることが可能ですが、色ムラなく仕上げるのはかなり難しいと言われています。柄を付けることはできませんので、コテにより表面に凹凸を付けて表情をつくることがあります。ウィングホームでは天然顔料によりムラの少ない色漆喰を施工していますが、濃い色は難しく淡い仕上げとなります。

 

ひび割れしやすい(漆喰のデメリット5)

漆喰は乾くと「もとの岩に戻る」と言われるほど柔軟性に乏しい材料です。
割れ防止として、海藻から得られるノリや、植物性のスサが混入されているのですが、これらは乾くと伸び縮みしない天然素材なので、下地が動いた場合に追従できずヒビ割れを生じてしまいます。
木造住宅は地震や風による揺れ、構造材の乾燥などによる下地の変形が起こりやすく、構造的に危うい家に漆喰を使うと簡単にひび割れを生じます。

ウィングホームの家は構造的に揺れにくく、下地処理にもかなり手間暇をかけているため、漆喰であってもヒビ割れが生じることがほとんどありません。
なお、プラスターボードに直塗りする施工はヒビ割れの危険性からもお勧めできません。

 

でも、漆喰は良い子なんですよ

以上のように、漆喰施工は、職人が不足していて、工期も長く、よって施工費も高くなってしまい、しかも、何とか採用したとしても(ノウハウが無いと)後になって割れてさらに補修に費用が掛かるという、住宅会社にとっては、とても取り扱い困難な材料なのです。

それでもウィングホームは漆喰を全棟標準にしているのには、デメリットをはるかに凌駕するだけのメリットがあるからです。漆喰は生ものです。扱い方を間違えると駄々をこねますが、ちゃんと扱えばとても良い子なのですよ。

 

 

斎藤元志

投稿者: 斎藤元志 創業者

ウィングホーム株式会社の創業者であり、現代表。自らを「断熱バカ」だと揶揄する一面も。 スタッフ紹介

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