はじめに
近年の新築住宅では、和室や小上がりに和紙で出来た畳を設置するお家が多いかと思います。ウィングホームでも和紙で出来た畳を用いているお家がほとんどですが、年に数件は和室にイグサで出来た畳を設置するお家もあります。
先日畳の置き方についてブログを書いたつながりもあるので、今回は本来の畳の原料であるイグサについてブログにしてみようと思います。
イグサとは
イグサは漢字では「藺草」と書き、別名「トウシンソウ(燈芯草)」とも言われます。ちなみに本来の標準和名である「イ(藺)」は日本で一番短い植物名になるそうです。
イグサは東アジアに広く分布する植物で、単子葉類に分類されイネ目イグサ科に属する、湿地や水深の浅い水中などに生える多年草になります。
イグサの効能
イグサの効能として
①癒し効果
イグサの主成分として「フィトンチッド」と言うものがあり、この「フィトンチッド」の成分が医学的に心身を深いリラクゼーションへ導く効果があると明らかにされています。森林浴などでリラックスできるのもこの成分の効果だと言われています。
②調湿効果
イグサの茎の内部は「灯心」と呼ばれるスポンジのようなハニカム構造で構成されており、その内部に空気をため込むことができ、茎表面の「気孔」を介して茎内外との空気の吸収・排出が出来ます。
この機能を用いてイグサは、室内の湿度が高い場合には水分を吸収し、反対に室内が乾燥している場合は吸収した水分を放出することで室内の湿度を調整してくれます。
③空気の浄化・消臭効果
先述した通りイグサはスポンジのようなハニカム構造で構成されており、空気の吸収・放出をしてくれます。この機能を用いてホルムアルデヒドや二酸化炭素などの空気中の有害物質や、不快な臭いの元となる酢酸やアンモニアなどの物質を空着ししてくれます。
④抗菌
先述したいい香りの元である「フィトンチッド」も本来は植物に絶えず侵入しようとする有害な菌や細菌、昆虫などから身を守るために、植物自身が自己防衛のために作り上げた物質になります。最近では大腸菌、サルモネラ菌,黄色ブドウ球菌などの食中毒細菌やバチルス菌、ミクロコッカス菌などの腐敗細菌などに対しての抗菌作用が明らかになっているそうです。
イグサは昔薬草として扱われていたそうで、炎症・切り傷・打撲の改善に寄与すると昔の文献に記載されていたそうです。今でもイグサを細かく砕いて袋詰めにして、浴槽に浮かべる「いぐさ風呂」なるものをあるそうです。
最後に
イグサの畳を置いているお家は、イグサ独特の良い香りが和室や小上がりだけでなく家中に広がっていて、そんなお家に入るたびにイグサの畳でないと演出できない独特の落ち着ける空間があるなと感じます。
見た目や質感だけではなく、香りに対しても良い印象を与えてくれるイグサは建築材料としても優秀なものだなと思います。