あの世でエンマ様が尋ねた。
「おまえの人生は何年だった?」
たしか80年でした。男は答えた。
「いや、そうじゃない。それは寿命のことだろ。人生とは生まれてから死ぬまでの時間のことではないのじゃ。」
えっ、どういうことですか?
「人生とは、魂が震える喜びの時間の総和のことじゃ。」
確かにそうだ!死んだ今になって分かった。
「おまえの人生は記録によるとたった2時間じゃ。」
なんてことだ。おれは自分を押し殺して生きてしまっていた。でも、なんでこんな大切なことを誰も教えてくれなかったんだ?
「たわけたことを言うな。誰もが生まれながらに知っていることだ。赤ん坊や子供たちを見てみろ。彼らは常に魂を震わせているだろ。おまえは大人になる途中で生きる意味を忘れてしまっただけだ。」