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もう40年以上前、高校生の頃に革ジャンが流行りました。学生には高価でとても手が出ず、私は父親が若い頃着ていた革ジャンをもらって着ていました。バッタ品を買う友人も多く、本物か偽物かを見分ける手段としてライターで炙ったりしました。バッタ品だと自覚している友人は火をかたくなに拒むため、みんなで大笑いした楽しい思い出です。
本当の漆喰には種類がない
「漆喰にもいろいろ種類があるんですか?」
お客様から尋ねられたことがあります。
漆喰は、石灰岩から作られるので、その産地が違う程度で、出来上がりにはそれほど差がありません。
石灰岩はサンゴや貝殻が長い時間をかけて固まったものなので、同じ成分のホタテ貝などを原料とした漆喰が少量流通しています。それも基本的には変わりがありませんが、多少の色素が残ります。
ではなぜ、世の中に様々な『漆喰』が出回っているのでしょうか?
千年以上、評価され続ける漆喰
本物の漆喰は、消臭作用、化学物質吸着作用、調湿作用、不燃、補修が簡単、汚れに強い、純白が長持ちなど数多くの長所を持ちます。住んでいて体感しやすいのは「消臭作用」と「調湿作用」、逆に分かりにくいのは「化学物質吸着作用」と「不燃」です。
短所としては、材料も施工費も高価、熟練左官でないときれいに塗れない、下地処理を省くと割れやすい、揺れる建物では割れやすい等があります。
「漆喰の長所を保ったまま、短所を改善し、安くて施工が簡単で割れにくい漆喰があればいいのに。」
誰もが考えますよね。
でも、本漆喰である以上、そんな漆喰はできません。太古の昔から使われてきた100%天然素材で、千年以上にわたって改善されて今に至っているのですから。
漆喰人気に便乗しようとした業者が何をしたか?
天然素材にこだわらなければ、見た目が漆喰のような塗壁は簡単に調合できます。
代表的なのは、樹脂(ペンキ)のなかに珪砂や珪藻土を混ぜる方法。以前は「珪藻土」というなで流通していましたが、最近では「漆喰」という名で流通させているメーカーもあるようです。
さらに最近では、塗壁だったらどんな成分であっても「漆喰」とうたっても許されるような風潮になってしまいました。
本物志向の私にとって、とても残念なことです。
バッタ品(偽漆喰)の種類と見分け方
偽漆喰が多く出回ってますが、施工を終えて固まった壁を見て判断するのは素人では困難です。
でも、建築中だったら臭いで直ぐに分かります。漆喰の臭いは独特で、運動会などでラインを引いた石灰(今はラインパウダーというらしい)のような臭いがします。
樹脂やセメントのような臭いがしたら全くの偽物です。
ということは、住宅会社はサンプルの臭いや施工中に臭いによって偽物であることを知り得るということです。それなのにあたかも本物の漆喰のように宣伝しているのはいかがなものでしょうか。
ドラッガーは「知りながら罪をなすな」と言いました。私はこの名言を肝に銘じて会社経営をしてきました。なぜなら、それが最大の罪だからです。
一酸化炭素中毒の恐ろしさ
火災によって亡くなられた方の半数は煙による一酸化炭素中毒だと言われています。一酸化炭素を吸い込むと赤血球中のヘモグロビンと結合して血中の酸素が不足し、頭痛、吐き気等からはじまり、その後、昏倒し、酷い場合には死に至ります。
しかも一酸化炭素は無味無臭であるため、就寝中に気づいても手遅れで身体が動かず、そのまま死亡するケースが後を絶ちません。
天井や壁に使用される建材は、一般的に不燃材の使用が義務付けられていますが、不燃材であってもモノによっては燃えて一酸化炭素を発生することがあります。
これを見分けるには、サンプルに実際に火を点けるしかありません。
本漆喰、偽漆喰、ビニールクロスの3点に3秒間火を当ててみました。結果は写真の通りです。漆喰以外は火を離してもしばらくの間、臭いガスを発生していました。
漆喰は燃えないどころか煙さえ立ちません。
それもそのはず、もとの岩に戻っているのですから。
珪藻土は火を近づけると炎と白くて臭い煙を発生します
この煙はヤバイです。
ビニールクロスは火を近づけると直ぐに黒煙とともに燃えだします。
火を離してもしばらく燃えています。
不燃材なのにおかしいですね。
燃えない壁・天井・そして床
居住空間は6つの面からなります。壁が4面、そして天井と床を足して6面です。
ウィングホームの標準仕様は天井壁ともに本漆喰なので、万一失火しても壁も天井も燃えませんし、有毒ガスも出しません。床は無垢板なので上からの炎では炭化する程度で、短時間で燃えることはありません。つまり、火災時でも安全な6面の中で生活しているということです。
もし、壁・天井がビニールクロスや偽漆喰だったらと考えると私は怖いと思います。