防音♫

音漏れ防止

部屋の中の音が外部に漏れないようにしたい、外部からの音が部屋の中に入るのを防ぎたい、という事を考える際、「防音」という言葉を聞いたり、使ったりすると思います。

しかし「防音」という言葉の他に「遮音」や「吸音」という言葉も存在し、それらを混同しながら使用している方もいるのかなと思います。なので似たような言葉である「防音」「遮音」「吸音」という言葉の違いについて簡単に紹介します。

 

「防音」とは

「防音」という言葉はいろいろな場面で聞くことがありますが、この言葉はあくまで音が外部に漏れるのを防いだりすることを総合した概念的な言葉であり、具体的に音を漏らさないように施す何かしらの方法を指す言葉ではありません。

「防音」をするための具体的な方法を指す言葉が「遮音」や「吸音」というものになります。「防音」という大きなくくりの中に「遮音」や「吸音」がある様なもので、「防音」を行うために「遮音」や「吸音」という方法を用いるイメージです。

 

「遮音」とは

「遮音」というのは壁や扉などを用いて空気中で伝わってくる音を遮断して、外へ音が透過しにくくすることで「防音」を行う方法です。

ただ普通の壁がそこにあるだけでは音が外に漏れるのを完全に防いでくれる訳ではないため、「遮音」を壁等に施す際は、音を透過しにくい「密度・重量が大きい」素材を用います。具体的には鉄板やコンクリート、比較的安価に使用できる石膏ボード等を使用することが一般的です。

また「遮音」においては、遮音性能を高くし過ぎることも良くありません。遮音は音を跳ね返して音漏れを防ぐ構造なので、あまりに遮音性のみを高くしてしまうと遮音した音が室内で反響してしまい、室内での音が聞き取りづらくなってしまうことで、逆に音環境が悪化してしまう可能性があります。

 

「吸音」とは

「吸音」も「遮音」と同じく「防音」するための方法です。遮音と違い、音を跳ね返すのではなく音を吸収することでと音が外に漏れるのを防ぎます。音漏れ以外にも音の反射を吸収することで、室内での反響音を抑制することもできます。

構造としては吸音材の細かい穴や小さな空間に音を誘引させます。そしてその内部で音を拡散させていくことで、音のエネルギーを「熱エネルギー」に変換させ音を減衰させています。そのため吸音材には細かい穴や小さな空間が多数あるグラスウールやウレタンフォームなどの多孔質な素材が用いられることが一般的です。

ちなみにコンサートホールのような場所で楽器を演奏した際、客席に観客がいない場合よりも観客がいる場合の方が、基本的に反響(残響)音は小さくなります。これは物理的に音を遮るものが増えた事に加えて、音が空気中を伝わってく中で観客の服や髪などに音が吸収されて減衰してしまうことで起こる現象です。

 

遮音と吸音

また「防音」を行う場合、「遮音」か「吸音」のどちらかを行うのではなく、両方を施工する事がとても重要になります。

「防音」を行う上では、音を遮る「遮音」が基本になりますが、上記に書いた通り遮音性能のみ高くすると、音が反響し逆に音環境が悪化してしまいます。そのため「遮音」と併せて「吸音」を行うことで、吸音材が遮音材から反射してきた音も吸収し、音が漏れない、音が反響しない「防音」対策を施すことができます。

特に「遮音材」を壁の室外側に設け、「吸音材」を壁の室内側に設けるとより高い「防音性」を確保することができます。

 

防音シート

また最近ではホームセンター等で防音用のシートが売られている事があります。基本的に「防音シート」と呼ばれるものは「遮音」効果と「吸音」効果をあわせ持ったシート、「遮音シート」と呼ばれるものは「遮音」のみ効果を持つシートになるそうです。ただし、「防音シート」でも「遮音」効果のみだったり、「遮音シート」でも「遮音」と「吸音」の効果があったりする場合があるので注意が必要です。

 

最後に

混同しそうになる「防音」「遮音」「吸音」という3つの言葉ですが、それぞれ意味の異なる言葉であり、調べれば調べるほど奥が深い事柄だと思います。

普段生活する家の中の「音」について改めて考えているのも面白いかもしれません。

 

葛原 優太

投稿者: 葛原 優太 一級建築士

2023年建築士試験に合格し、現在は「一級建築士」として確認申請や省エネ計算などの設計業務を担当しいる。 スタッフ紹介

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