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敷居と鴨居
「不義理・不面目なことなどがあって,その人の家に行きにくい」という意味の「敷居が高い」という言葉があります。
「敷居」というのは家の中の建具を構成する部材の事です。
最近の家ではあまり見かけなくなってきていますが、昔ながらの和室には必ずある敷居と鴨居について紹介していこうと思います。
敷居
「敷居」とは和室等で障子やふすまなどの戸をはめ込むために下部に取り付けられた、溝が彫られた部材のことを言います。
敷居には戸をスライドさせるためのレールとしての役割だけでなく、部屋同士の空間を仕切るという役割もあります。
また敷居にはレールとしての役割があるため、滑りやすさも大事になってきます。
鴨居
「鴨居」とは、和室で障子や襖などをはめ込むための上部に取り付けられた溝を掘られた横木を指します。下側の敷居と対の関係になる部材です。
襖などの戸をはめる際に、先に上側(鴨居)に戸を差し込んでから下側(敷居)にはめて取り付けることから、溝の深さは敷居より鴨居の方が深くなっている場合が多いそうです。
ちなみに鴨居の語源には、下に敷いてある「敷居(しきい)」に対し、上にある事から「上居(かみい)」と呼ばれていたものが変化したとする説があるそうで、「鴨」の字があてられているのは鴨は水鳥であることから、火災から家を守るという願いが込められているからと言われているそうです。
また鴨居にはいくつかの種類があります。
差鴨居(さしかもい)
「差鴨居」とは、他の建具枠や化粧材としての鴨居とは違い、構造材に直接溝を掘って建具のレールにしているようなものを言うそうです。横架材を鴨居にしている為、通常よりも背の高いものが多いです。
差鴨居は鴨居そのものが柱と柱の間を繋ぎ、上部の荷重を支える梁の役割を持ちます。
柱の数が少なくなる広間などの開口部に用いられていたそうです。
無目鴨居(むめかもい)
「無目鴨居」とは、鴨居と同じ位置に付けられた横木で溝のない鴨居の事を言います。
化粧材として用いられるものであり、障子や襖などの建具を入れることがないため溝が彫られていません。
通路や建具のない開口部などにある、上部の垂れ壁や小壁の下端に化粧材として付けられることが多いようです。
付鴨居(つけがもい)
「付鴨居」とは、鴨居に似せた化粧材のことを言い、鴨居と同じ高さに付ける部材ではあるが、開口部がない壁面に取り付けるものになります。
鴨居の延長線上の壁面の取り付けることでアクセントや高級感を出すという役割があります。
欄間(らんま)
鴨居とは少し違いますが、昔ながらの日本家屋の居間などによくある欄間についても少し紹介します。
欄間とは天井と鴨居の開口部にはめ込まれた透かし彫りされた板などのことで、採光や通風を良くし室内環境を快適にするために設けられています。
花や鳥、風景などが彫り込まれた欄間や、絵柄をくり抜いた欄間、組子や格子を使った欄間など、様々な種類のものがあり、洋風の欄間なんてものもあるそうです。
室内の装飾としての役割も大きく多種多様なデザインがあるため、単なる換気口ではなく和の空間を彩る大切な部材です。
終わりに
最近の住宅では敷居や鴨居、欄間を設けることがなくなってきていますが、昔ながらの住宅や古民家、寺社仏閣などでは今でも見られるため、機会があれば障子やふすまの周りの部材にも目を向けてみると趣があるかもしれません。